塩釜FCの目指すものVISION

塩釜FCの目指すもの 〜沿革〜

「地域に根ざしたスポーツクラブ」づくり

社団法人塩竈フットボールクラブ(以下、塩釜FC)では、一般市民がそれぞれにスポーツを楽しめ、ふれあいの場となるような「地域に根ざしたスポーツクラブ」を目指し、スポーツ障害の研究や栄養学を取り入れたサッカー大会の弁当づくりなど「できるところから」のチャレンジを行っています。

  1. 沿革

    1964年(昭和39)年、東京オリンピックが開催されたこの年、塩釜FCの前身である仁井町スポーツ少年団が誕生しました。以後、学区ごとにサッカー少年団が活動を続けてきましたが、指導者不足、練習場所の確保の困難といった問題が生じ、1981年(昭和56年)各チームと話し合いの結果、大同団結する形で「塩釜FC」がスタートしました。1986年(昭和61年)、ジュニアユースチームも発足、5名からの厳しくもやりがいのある出発でした。そしてJリーグが開幕した1993年(平成5年)、ジュニアユースから上がってくる選手の受け皿としてユースチームを発足、さらに社会人チームも合流し一貫指導体制を確立しました。
    これまで加藤久(元日本代表キャプテン)をはじめ、現役Jリーガーとしては佐々木勇人(ベガルタ仙台)、奥山泰裕(ガイナーレ鳥取)、遠藤康(鹿島アントラーズ)など、クラブ草創期から数多くの有力選手を輩出していますが、塩釜FCの目指すものは、本当の意味での「地域に根ざしたスポーツクラブ」を作り上げることにあります。

  2. 取り組み内容と成果

    塩釜FCジュニアユースは、サッカーの技術の習得や生活環境を知り視野を広めることなどを目的として、1990年代にはドイツやイタリアへの遠征を行いました。そしてあまりにも我が国とスポーツ環境が違うことに驚き、我が国に活かせるものがないかと模索した結果、「地域に根ざしたスポーツクラブ」づくりに取り組むことになりました。
    過去に合宿したドイツ・ザールラント州のスポーツシューレは、3万坪の敷地に芝生のサッカーグラウンドが2面(1面は陸上トラック付き天然芝、もう1面は人工芝グラウンド)、さらにクラブハウス、体育館、屋内の多目的トレーニング場、リハビリトレーニングセンター等が完備されており、自冶体が施設を作り、州のスポーツ連盟やサッカー協会が「管理・運営」を行っていました。いわゆる「官設民営型」の施設であり、それこそ塩釜FCが目指す形のものでした。
    しかし、塩竈市で同様の形でスポーツ施設の運営を確立していくことは非常に難しく、塩釜FCは2年間宮城県教育庁と話合いを重ね、1996年(平成8年)に社団法人の許可を取得しました。塩竈市は、スポーツ施設が非常に少なく、近隣市町村に出かけ、スポーツを楽しんでいる現状です。そんな中、塩釜FCは1998年(平成10年)に完成した二又スポーツ広場(天然芝少年サッカー場、ソフトボール場)の管理を自冶体より委託され、ボランティアの人々の応援を受けて、芝管理に励んでいます。

  3. 地域との連携

    ドイツのスポーツシューレは緑に囲まれ、一般市民は日常から自分の好きなスポーツを年齢や体力に応じて楽しむことができ、家族同士のふれあいの場として大きな役割を果たしています。スポーツにおいての「する喜び」「見る感動」「語る楽しみ」の三拍子が揃っています。塩釜FCの目標はまさにそこにあります。
    高齢化社会がますます進む昨今、老若男女を問わない体力づくりなどが気軽にできればと願っていますが、今のところ思うような発展には至っていません。しかし、現在は東北大学病院の整形外科をはじめとした約10名の医師が、塩釜FCの子ども達を対象に「スポーツ整形」を確立しようとスポーツ障害の研究に取り組んでいます。原因のわからない怪我や、治療性が多種多様な障害などを多方面から調査し、今後のスポーツ活動に役立てるべく、ボランティアで勉強会を開いています。
    さらに、東北大学大学院の栄養士から、スポーツに関連した栄養学のアドバイスをうけ、サッカー大会の弁当づくりにも役立てています。できるところからチャレンジすることが、「地域に根ざしたスポーツクラブ」づくりには必要です。クラブハウスを地域の人々に開放し、身体を動かし語らいの場として役立てて欲しいと願っています。

  4. 今後の目標

    サッカー少年団からスタートした塩釜FCですが、少子化や過保護などの理由で、年々クラブ員(特に小学生)の数が減っています。ジュニアユース、ユースとも毎年のように全国大会に出場し成果は充分に現れていますが、会費収入のみのスポーツクラブの運営は大変厳しいものです。活動に伴い、経費はかさんでいきますが、収入の見込みは少なく、ボランティアスタッフの好意により何とか運営しているのが現状です。しかし、日々練習にやってくる子ども達の姿を見るにつけ、「次代を担う子ども達を大きく正しく育てるために努力をしなければ」と奔走しています。
    今後の大きな目標は、塩竈市にスポーツ施設はもちろん、リハビリトレーニングセンターを整備する運動を広げていくことです。誰でもが利用でき、病気にならないための健康づくりが安心してでき、アドバイザーや医師が常駐し、病気や怪我、心の悩みが相談できる施設があれば、最高のスポーツ環境が整うのではないでしょうか。