今昔物語
今は昔、試合中に珍事件がおきた。
十五年位前の夏休みの出来事だ。その頃の塩釜FCは、読売クラブの子供達と練習試合をし、交流をするのが夏休みの恒例行事で、この時も試合の真っ最中。塩釜FCメンバーチェンジ!「タケオちゃん、ウィングしろ!」塩釜FCに入りたてのタケオちゃん。運動能力は高いものの、サッカーの試合は初めて。張り切ってグラウンドに入っていったタケオちゃん。一生懸命片目を開けたり閉じたり。
「何してんだ、タケオー!」
「俺ウィンクしているよ。だって小幡さんウィンクしろって言ったでしょ」
これには皆大笑い。でも本人は真剣そのもの。
「説明しないで急にやらせた俺が悪い」と監督。「好きなように思いっきりやってみろ!」
中学三年までサッカーに喧嘩に明け暮れたタケオちゃん。監督が疲労で倒れた時も、ジュースをもって真っ先に駆けつけてくれたタケオちゃん。暴れまくって手に負えない時代もあったけれど、思いやりや優しさを表現するのがへたなだけ。今では中々お目に掛かれない人種だけれど、なぜか憎めないし、何かと心配。昔の暴れん坊軍団も今は、社会人チームをつくり団結している。皆、時期がくれば落ち着くものだよ。