今昔物語
今は昔、おねしょ隠し事件があった。
年に一度は必ず遠征を行い、集団生活の大切さを学んでいるが、小学生を連れていくと必ずと言って良いほど直面するのが「おねしょ」。遠征先の宿についてはじめにすることは、全員に目をつぶらせ、監督はこう聞く。
「おねしょが心配な人は手を挙げて!」
でもなかなか本音を出して手を挙げる事が出来ない小学生がほとんど。こんな時監督は、「ひとーり、ふたーり、さんにーん」挙げてもいない手を数え出す。すると安心して一人、二人と手を挙げ出す。「ようし、わかった。今、手を挙げた人に関してはおねしょしても何も言わないし、夜中に起こしてやる。でも、手を挙げなかった人は、自分で責任をとること」とたんに、また一人、二人と手を挙げ出す。
私は手を挙げた子供達を把握し、夜中に起こす役目に徹する。それでも失敗する子供が出てくる。こんな時、監督は、何人かの子供のパンツに夜中の内に薄めたウーロン茶をかける。翌朝、目が覚めた子供達は大騒ぎ。おねしょをしたのかと錯覚する子供、本当にやってしまったのかと悩む子供。
ここで監督の一言
「いたずらしてごめーん」
本当におねしょをした子も皆からはやしたてられることもなくいたずらで事件が終了。おねしょごときでひるむことなく大きく育って欲しいとの指導スタッフの願いをこめて……。