今昔物語

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その17

今は昔、ダイヤモンドサッカーというテレビ番組があった。

約三十年前、東北ではこの放送はされておらず、王様ペレの妙技を見る事が出来なかった。そのころ小幡監督は、知り合いの電気器具販売店でビデオデッキやカメラが載っているカタログを目にした。すごいものが出来たものだと感心したが、当時五十万円もするものだったので購入をあきらめた……が。
セールスの方の熱心なすすめと、世界のサッカーが見られる上に皆の憧れだったペレの素晴らしいプレーが見られることを思い、購入の決心をした。それもダイヤモンドサッカーをテープにとって送ってくれる事を条件に……。
しかし、当時オープンリールのビデオテープが一時間もので一万円という価格。生命保険の勧誘のアルバイトをしながらやっとの思いで教本を手に入れた。それでも保険の仕事は中々うまくいかず思いきって二人でダイヤモンドサッカーを放送している今のテレビ東京。かっての東京12チャンネルにアポイントなしで交渉に出かけた。対応に出て来てくれたのが宮城県白石市出身の方で東北でのサッカー普及のために多方面と掛け合ってくれる事を約束してくれた。
それからまもなく、宮城県でも夜中にダイヤモンドサッカーが放送され、1970年代のワールドカップや世界のサッカーを目にする事が出来るようになった。今では当たり前に放送されているサッカー番組も当時マイナーのスポーツだった為、放送するには大きな苦労があったに違いない。あの時の担当者の方に今でも感謝の気持ちでいっぱいだ。