今昔物語
今は昔、野菜嫌いの小学生がいた。
幼児の頃から知っていた私は、サッカーに入ってきたことをきっかけに食生活の教育係に変身した。合宿や、遠征では隣りに座り、玉ねぎ、キャベツ、人参……と野菜を食べるのを確認するのが常だった。目に一杯涙を溜め、やっとの思いで飲み込む姿を可哀想と思いながら健康面を考え、心を鬼にしていた。ところが、最近分かった新事実があった。我が家に遊びに来た「ボンチャン」(あだ名)の爆弾発言。
「あの頃、Riさんの目を盗んで、皿の下にねばしたり、茶碗の底に隠しておいて、皆の姿が見えなくなってからかたずけていたんです」
「ナニ———!!」
昔よりは大分食べられる様になったボンチャンだけれど、今でもやはり野菜嫌い。中学・高校は地元のスター選手として活躍してきたけれど、今はちょっと太りぎみ。最近パパになり、子供の食生活も考えなければならない立場になり、野菜嫌いが克服出来るか乞う御期待!
ちなみに、ボンチャンのボンは、ボンボンのボンでなく、バカボンのボンで〜す。何があっても憎めないキャラクターがこのニックネームになったのかも。
今でも野菜嫌いや、小食、偏食の子供達が多い。私は、相変わらず野菜嫌いな子供の隣りに座って食べ終わるのを待っている。こんなことを懲りずに四十年も続けているのだ……。