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ACミランとの合同合宿

ホテル編

ホテル「コンコルド」はこぢんまりとした四つ星ホテル。日本の一流ホテルとは大違い。服装も自由だし出入りのチェックも甘い。エレベーターはボタンを押してからしばらくしてやっと下りてくる。ある時はドアが開いたまま上がっていった。エー!ウソー!と思わず絶句。

部屋の中に飾っておいたユベントスのサイン入りポスターが突然消えた。かけたはずのドアの鍵が開いている。「やられたー!」と思ったときはあとの祭り。誰が持っていったかは不明だが、 多分合い鍵を持っているホテルのメイドの仕業かも……。 疑いたくはないけれど部屋の中に珍しいものを見つけると、イタリア語と身振りでねだってくる。

メイドの仕事ものんびりだ。くわえ煙草で廊下の掃除。一日がかりでベットメーキング。こんなところを見られたら日本では即「クビ」。でも挨拶だけはいつも笑顔で「ボンジョルノ!」。

レストランのウェイターのマリオ君は少し日本語が出来る。食事が終わると「終わり?」と聞き、物足りない子を見ると「もっと?」と尋ねる。

チップをやる習慣が無い日本人にとってこんな厄介なものはない。食事が終わる度に1,000〜2,000リラをテーブルの上に置いていく。32名の参加者の中で一度もチップを置いたことが無い人もチラホラ。日本とは常識の違いが沢山あり、海外旅行経験の多い辰郎先生や、ジュリアンの助言に大助かり。

ホテルでの1回の食事時間は、約1時間半。朝は簡単すぎるくらいのメニューで、何と歯でちぎれないほどの固いパン、ジャム入りのパサパサのクロワッサンとジュースそしてミルクとコーヒーだけ。これが毎日すっかり同じ内容で6日間続き、さすがの私も我慢しきれず通訳を通して一文句。7日目にやっとヨーグルトとコーンフレーク、果物が追加された。

昼食はしっかり食べるイタリア人。夕食と同じ量が出てくる。でも私にとってはつらい食事だった……。ミラノの夜は長く日没は午後8時を過ぎる。夕食は日没と共に始まる。ホテルに着いた日の夕食。本場の「イタメシ」に挑戦とばかりはりきってテーブルにつく。まず出てきたのが「スパゲッティーミートソース」。まあまあの味だ。しかし前菜が出てこない。「おかしい!?」。次に出てきたのがビーフの薄いステーキ。「あれ!サラダはセルフサービス?」。ドレッシングも自分で作るらしい。テーブルの上にはコーン油と酢と塩が置いてあるだけ。なんか変だと思いながら食事を済ます。甘い甘いアイスクリームのデザート食べて完全に終了。毎日変化のない食事、リゾットはしんがありすぎて食べられない。パスタ、固いパン、魚叉は肉の繰り返し。

とうとう我慢しきれず、中日あたりで食事について通訳に聞いてみる。すると一般的なイタリア人の食事はこんなものだという。しかし「私達は、ホテルにいるのだ。一般的な食事よりもうすこし目先をかえてくれても良いのでは」と思い他のお客の食事をのぞき見。「アレー!全然違うヨー、うまそう」「仙波さん(今回のお世話人)ねぎったなー」との思いが一瞬頭をよぎる。

日本から持っていった電気鍋が大活躍。毎日お湯をわかし子供たちが持ってきたカップラーメンづくりにおおわらわ。洗面所が台所にはやがわり。トイレ、シャワーも一緒の部屋だが、汚いなんていっていられない。とにかく日本食が食べたいのだ。真空パックのごはんがこのうえなくおいしい。やはり、日本人だと実感する。